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600万回以上再生されたJTの「想うた」 製品が登場しないCMは何を訴えているのか

JTCM

 JTが展開するテレビCM「想うた」をご存じだろうか。俳優の北村匠海が演じる「村上優人」を中心に、両親、友人、同僚とのつながりを表現しているCMだ。2018年のシリーズ開始以来、新作が放送されるたびにSNSなどで反響を呼び、YouTubeの再生回数はシリーズ累計で600万回を超える。

JTのテレビCM「想うた」(出所:プレスリリース)

 20年9月には第6弾の放送を開始。「夫婦」をテーマに女優の石井杏奈演じる「二宮遙」との結婚生活を描く。CMの楽曲は1作目からMONGOL800のキヨサクが作曲を担当している。

 テレビCMと言えば、訴求したい製品や企業名を強調するのが一般的に思えるが、このCMにはJTやグループ企業が展開する製品は一切登場しない。企業名もナレーションとテロップが最後に表示されるだけだ。JTはこの「想うた」シリーズで何を訴求したいのだろうか。

社名ロゴはCMの最後のみ(出所:プレスリリース)

製品のPRとは異なる「企業広告」

 かつてはJTでも製品をPRする「商品広告」を放送していた。しかし、未成年の喫煙防止や喫煙マナー向上のため、1995年からJTなどが加盟する「日本たばこ協会」がテレビやラジオでのたばこ広告の自主規制を実施。以降、テレビでたばこ商品のCMが放送されなくなっていった。

 商品広告とは異なり、想うたシリーズは「企業広告」と呼ばれるものだ。企業の事業内容や社会貢献活動などを訴求し、企業のイメージや認知度を向上させる狙いがある。例えば、社名変更を機に放送していたAGC(旧、旭硝子)の「なんだし、なんだし、AGC」や「この木なんの木」で知られる日立グループの「日立の樹」などがそれに該当する。

「日立の樹」で有名なモンキーポッド

 ただ、AGCはCM中に社名を連呼しているし「日立の樹」は提供番組のみでの放送だ。JTの「想うた」はどうだろうか。先述した通り、最後まで見ていないとJTのCMだと分からないようになっている。JTのパブリックリレーション部で広告制作を担当する蔭山健太氏と天野裕策氏は「JTであると分かりづらいCMだと自覚している」と話す。では何を訴えていているのだろうか。

 「想うたシリーズは、『ひとのときを、想う。』というJTの企業姿勢を訴えるために放送を続けている」(蔭山氏)。「ひとのときを、想う。」はJTが09年から使用しているコミュニケーションワードだ。「お客様を中心として、株主、従業員、社会の満足度を高めていくという経営理念『4Sモデル』を共有するための手段として10年前から企業広告を展開している」(蔭山氏)

(出所:JT公式Webサイトより)

 想うたシリーズは、世代や年齢を区切らず幅広い世代をターゲットとしているという。JTでは、同シリーズを放送する前「想うた」とは雰囲気の異なる企業広告を放送していた。

 同社は想うたシリーズの前に「日本のひととき」というシリーズを放送していた。ニュージーランド出身のリヴ・オドリスコールが折り紙や和歌、水引細工などの日本の伝統文化に触れていくという内容で、計6作を公開していた。

日本のひとときシリーズ(出所:プレスリリース)

 蔭山氏は日本のひとときシリーズについて「日本の文化や価値観にも寄り添っていきたい」という同社の思いを込めたものだったと説明する。実際、放映当時は、映像の雰囲気や楽曲、取り扱った伝統技法などがSNS上で話題となり、好意的な意見が多く寄せられていたという。

 「日本のひととき」シリーズ終了後、新CMを制作する上で意識したことが「より広い層に受け入れられやすいテーマを」ということだった。「日本のひとときシリーズも広く受け入れられたが、日本文化という点では少し“偏差値が高い”部分があった。幅広い層が視聴するテレビCMを中心に展開するシリーズであるため、次回作はより簡単に受け入れられるテーマにしたいと考えていた」(蔭山氏)

 そこで、新しく展開する想うたシリーズでは楽曲をベースにするクリエイティブを構築。「歌詞と映像の世界観を融和させて、世の中がこれから目指す『受け入れる世界』に企業として寄り添いたいというメッセージを表現したかった」(蔭山氏)

左からJT 戦略担当主任 蔭山健太氏、天野裕策氏(インタビューはオンラインで実施)

 想うたシリーズの第1弾は「親を想う」。1人暮らしを始めた主人公が、親のありがたさや存在の大きさに気付いていく過程を描いた。その後のシリーズでは「愛する人」「仲間」と自分と周囲の人々との関係性を表現した。そして4作目の「同期」を扱った作品からはCM内のキャッチコピーとして「違うから、人は人を想う」をテーマに据えた。

好意的な反応 楽曲の音源化も

 これまでのシリーズを通して、同社には好意的な反響が寄せられているという。また、CMをきっかけに社名を検索する人もいて、会社の認知度向上にも貢献している。蔭山氏は、楽曲をベースとする戦略が功を奏したと胸を張る。さらに「楽曲の音源を発売して欲しい」という要望が寄せられ、楽曲のリリースが決定。20年12月にCDの発売と配信を開始している。

 「CMのストーリーと同様に、楽曲の歌詞に共感し、自分事として捉える人が多かったと感じている。企業価値を高めることとしてやってきたCM放送だが、消費者の要望を結果的に叶えることができたのは良いことだと思っている」(蔭山氏)

楽曲の作詞はクリエイティブディレクターの篠原誠氏が担当(出所:プレスリリース)

 また蔭山氏は、企業広告を通して「人材の確保」にもつながればと話す。「消費者が製品を選択する時に、メーカーを気にするものと気にしないものがあると思う。社名とブランドを結び付けることは難しい。またJTは、専売公社から民営化された企業であることを学校で習ったと思うが忘れている人も多い。広告を通して、社名を知るきっかけにもなれば」

 たばこ離れが進む中、九州工場の閉鎖や1000人規模の希望退職を実施すると発表した同社。想うたシリーズで訴える「人に寄り添う」企業としてどのような展開を遂げるのかこれからが正念場だ。

(写真提供:JT)

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2103/08/news021.html

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